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当科の診療からの学びをおすそ分けします。適宜更新しますので、お役に⽴てたら嬉しいです!
なお、紹介したエビデンスは⾃分の患者さんに当てはまるかは検討が必要ですのでご注意を。

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カリキュラム開発概論

教育の分野でレジデントのカリキュラム開発をすることもあると思います.

重要なのはインストラクショナルデザインと同様に,ミッションを意識しながら学習者のアウトカムを設定して,それをどう評価するかという点だと感じています.そしてそれをPDCAに回していくようですね.

『医学教育を学び始める人のために』
Ronald M. Harden (著), Jennifer M. Laidlaw (著), 大西 弘高 (翻訳).篠原出版新社.2013

やインストラクショナルデザインの資料を参考に,概要を作ってみました.
プレゼン部で作ったものなので,見た目がアレですみません.

 

雰囲気縛り

プレゼンを作るときに各スライドの雰囲気を一貫させるのって,地味に難しかったりします.
そこでなんとなく自分に引っかかった映画やキャラ,テーマなどの雰囲気で統一して作ってみるのは,縛りができるからこそ余計なことを考えなくていいので楽だったりします.

・ファカルティ・ディベロップメントのために資料を作っていたのですが,なんとなく「学校でただならないイメージ」→映画「悪の◯典」のビジュアルイメージがあったので,そのイメージに寄せました.残念ながらこの映画は未視聴です.

これまでも
・進撃の◯人縛り
・ガン◯ム縛り
などなど,色々作っていますが,ゼロからの構想と違って圧倒的に楽です.

・これは健康生成論とイメージが似ているロールプレイングゲームの主人公たちの成長をテーマにしています.

BPSモデル

・BPSモデルはそれぞれの要因を見つけ,相互関係を見つけていく.介入の際にはシステム理論に基づくので,「風が吹いたら桶屋が儲かる」のように一つの介入がどんな他への影響を及ぼすかを考える.効果的な介入点をレバレッジポイントといい,やみくもに介入しようとせずどこがレバレッジかを考える.

・複雑困難事例などでの多職種カンファではBPSモデルを利用したアプローチが有効.Bは医師,Pは看護師,SはMSWが強いので協働して検討する.

 

■BPSS(Biopsychosocial-Spiritual)インタビュー
B,P,Sをそれぞれ聞いていく質問法.代表的な質問は下記.心理療法士向けの内容だが,おそらく私たちがBPSモデルを考えるときにも部分的に適用できそうです.ひどい訳ですがお許しください.

 

・Biomedical
1:あなたの健康状態やillness・怪我などの経験について教えてくれませんか?どんな症状が気になっていますか?どの症状に初めて気づきましたか?それをコントロールするためにどんな手段や治療が必要でしたか?
2:あなたと医療者との関係を教えてくれませんか?例えば,彼らがどんな助けになったか?またどんなことで困りましたか?
3:今回のことを通して,自分の体がどんな反応をしたことに一番驚きましたか?
4:あなたや,家族は過去にこれまでillnessや怪我などに対して医療を要してきたことはありますか?もしあるのなら,それは今の自分にどういう影響を与えていますか?
5:あなたの体の症状が感情,考え,行動に与えるインパクトをどのように気づきますか?

 

Psychological
1:あなたに影響を与えたillnessの経験についてどう思いますか?
2:この経験を通して最もあなたを驚かせた感情はなんですか?なぜですか?
3:あなたが診断されてから,あなた自身や家族,あなたの仕事や趣味などの活動などに対しての考え方は何か変わりましたか?どんなふうに?:
4:どうな風に考えれば気分良く感じられますか?逆にどんな考えがあなたのエネルギーを失わせてしまいますか?

 

Social/Environmental
1:あなたのそばにいる,あたなの健康についての心配を一番話せる人は誰ですか?
2:今回の経験を通して,家族の中で最も支えになったのは誰ですか?その人は何をしましたか?もっと支えてほしいと思う人は誰ですか?
3:今日の受診にあたって,社会的なサポートの中で何が困難でしたか?どうやってそれを乗り越えたのですか?
4:家族はそれぞれがケアや心配についてどのように言っていますか?
5:あなたの健康を管理するにあたっての他のストレスはなんですか?(経済?交通?仕事?司法?教育?)

 

Spiritual
1:なぜこんなillnessや健康危機の経験をすることになってしまったと思いますか?
2:今回のことはあなたの人生にどんな意味を持ちますか?
3:あなたを超えてあなたを今回のことから救ってくれる人や場所,物はありますか?どんなふうに?
4:今回の経験はあなたのスピリチュアルな考え方に影響を与えましたか?どんなふうに?
5:制御不可能だと感じてしまうのはどの健康の部分ですか?

(The Therapist’s Notebook for Family Health Care: Homework, Handouts, and Activities for Individuals, Couples, and Families Coping with Illness, Loss, and Disability 1st Editionから訳.悲しいくらい直訳)

前庭神経炎

■診断

・AICA梗塞は38%でHIT陽性になる.しかし99%に脳幹・小脳症状を伴い,蝸牛症状を95%で伴うので前庭神経炎と区別しやすい(J Clin Neurol.2009;5:65)

■治療

・前庭神経炎に対するコルチコステロイドの有効性を調べたメタアナリシスでは,治療後1ヶ月の前庭機能改善とは関係していたものの,12ヶ月時点では全く差はなく,コルチコステロイドの明確な有用性は示されなかった.(UpToDate > Vestibular neuritis and labyrinthitis > Treatment (2020/3に参照))

骨盤内炎症症候群

・PIDに対する病歴+内診の診断性能はLR+ 1.23(0.92~1.63), LR- 0.85(0.68~1.06)(Ann Emerg Med. 2018 Dec;72(6):703-712.)

 

・PIDに対する内診所見の検査性能は

子宮圧痛 LR+ 0.99, LR- 1.09
子宮頚部可動痛 LR+ 1.05, LR- 0.67
付属器圧痛 LR+ 0.99, LR- 1.18
CDC診断基準 LR+ 1.07, LR- 0.77
(Am J Obstet Gynecol 2001;184:856-64.)

また内診所見の再現度は,検査者間一致度 17~33%(West J Med 2001;175:240-5.)

 

・PIDに対するその他検査性能は

帯下の異常  LR+ 1.14, LR- 0.68
38℃以上の発熱  LR+ 2.09, LR- 0.94
WBC >10000  LR+ 1.72, LR- 0.77
クラミジア/淋菌 PCR陽性 LR+ 3.04, LR- 0.54
(Am J Obstet Gynecol 2001;184:856-64.)

 

転倒

■各薬剤の転倒リスク
・BZ系の転倒リスク OR 1.57(1.43~1.72)(Arch Intern Med. 2009;169:1952-60)

・非BZの転倒リスク OR 2.40(0.92~6.27)
非BZの外傷を伴う転倒 OR 2.05(1.95~2.15)
非BZの骨折を伴う転倒 OR 1.63(1.42~1.87)
(Age Ageing. 2018;47(2):201-208)

・新規睡眠薬の転倒リスク
スボレキサント(ベルソムラ®)RR 0.84(0.44~1.62)(Sleep Med Rev. 2017;35:1-7)

・抗うつ薬の転倒リスク
トラゾドン(デジレル®) OR 1.20(1.00~1.40)(N Engl J Med. 1998;339:875-82 )
ミルタザピン(レメロン®) OR 1.44(1.15~1.82)(BMC Med. 2018;16:36)

 

葉酸欠乏症

・葉酸欠乏症の原因にST合剤がある(UpToDate>Causes and pathophysiology of vitamin B12 and folate deficiencies 2020/3に閲覧)

家族図

◆家族図作成から仮説生成までの流れ(藤沼康樹先生レクチャー)
1:家族図を書く
2:親レイヤー,子レイヤー,孫レイヤーを意識する
3:当事者+もう一人の3角形で考えると新たな視点が見える.Ex)当事者夫婦+子,当事者夫婦+孫

 

・身体化症状は家族内の適応機能として働いている可能性がある
・一般的なライフサイクルをたどっていない(離婚,再婚,子供いない)などではストレスが強いことが知られている
・ライフサイクルのステージが変わるときにはストレスが強くなる
・家族図:縦断面での評価としてアルコールや虐待などの問題を親子で繰り返していないか,
・また自分の家族の体験を相手の家族に投影してしまっていないか(自分が長男だと相手が長男っぽい役割をしてないと陰性感情を持ってしまうなど)
・家族面談の禁忌:家族が暴力行為をするとき

 

◆家族図作成のキークエスチョン(藤沼康樹先生レクチャー)
・「病気や治療のことで,家族が最も心配していること,問題だと感じていることは?」
・「家族の中で,誰が一番病気による影響を受けてますか?,またその人はそれをどのように語っていますか?」
・「今回のことで,あなたは誰に最も助けられていますか?」
・「今,あなたが一番欲しい情報は何ですか?」
・「今のあなたには,診療所のスタッフからのどのような支援が助けになりますか?」

 

◆退院調整カンファに使うには(藤沼康樹先生レクチャー)
・登場人物把握
・ヘルスエキスパートの確認
・関係性とかは本人達は話してくれないこともあるので,ケアマネに聞いたりすることがある
・家族に接している医師やリハなどから情報を得る
・医療チームで共有するときには家族図はいいフレームワークかもしれない

間質性肺炎

■診断
特発性間質性肺炎[IP]のKL6は間質病変の範囲,SPDが炎症(すりガラス影)の程度と相関しているかもしれない. (respiration 2012;83:190)

頸動脈狭窄症

■診断

・50-69%狭窄に対する尤度比はエコー 4.0/0.7, CTA 3.2/0.4, MRA 4.1/0.7であり, 70-99%狭窄に対して, エコー 5.6/0.1, CTA 15.4/0.2, MRA 5.5/0.14である. (Lancet 2006 May 6;367(9521).1503)

→スクリーニングはMRA+エコーで行い, その後CTAを行うのが良いかもしれない.

・狭窄が軽度でも内膜剥離術の適応になりうる潰瘍形成の評価には, MRAのblack bloodが検査性能が非常によい[LR 23/0.08]. 頸動脈に不安定プラークがあればMRAを撮影を検討するのが良いかもしれない. (radiology 2015;274.508)

 

■治療

・頸動脈狭窄症のCASは90日間のDAPT内服治療と比べて有意に脳卒中,出血を増やす(NEJM.2011; 365:993)

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