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私たちの診療Tips
当科の診療からの学びをおすそ分けします。適宜更新しますので、お役に⽴てたら嬉しいです!
なお、紹介したエビデンスは⾃分の患者さんに当てはまるかは検討が必要ですのでご注意を。
会議術
総合診療医たるもの,医師,多職種との連携は必須スキルです.参加する会議も多いと思います.
ただ,会議に出ても,何を話し合っているのかわからない.目的がわからない.時間が終わらないなど「これ,出てる意味あるの?」と感じてしまうこともあるのではないでしょうか?
そこで今回は会議を円滑にするための方法を状況整理,比較,考えるに分けてご紹介します.
アブストラクトの批判的吟味
全文が見られないからアブストラクトだけ見る,興味分野の研究をザッとスクリーニングをかけるためにアブストラクトを見る.
本文を全部吟味するのも大変だから,アブストラクトだけ見る機会も多いですよね.
実はアブストラクトにも吟味のポイントがあります.
今回はRCTのアブストラクトのポイントを紹介します.
- 1.EBM G_STEP3 批判的吟味 アブストラクトの吟味
- 2022.02.10
多発性骨髄腫
血液・尿でM蛋白が認められない非分泌型MM(NSMM)はMMの3%.その中のさらに2~4%はκ/λ比が正常であるtruely NSMMという.これに特異的な検査はないが,低ガンマグロブリンは92%にあり,高カルシウム血症,腎障害,貧血,骨病変があれば診断には骨髄生検が必要になる(外来診療のUncommon Disease vol.3.生坂政臣編著 日本医事新報社.2020)
陰性感情
診療でついついイラっとすることありますよね.
このイラっとしたり,嫌だなと思う感情を陰性感情と言います.
相手のせいにしがちですが,実はこれは相手の問題だけではないことが多いのです.
その問題点の整理法と,その対応法についてまとめました.
コントラストを強くする
多くの情報がある中で目にとまらせるには,目立たせることが大事です.
ただ,表示する情報を全部派手にしてしまうと,今度は何が重要な部分かわからなくなってしまいます.
そんなときに意識するのがコントラストをつけて,他の情報と比べ目立たせることです.
コントラストをつける4つのポイントをまとめました.
- 4.プレゼン部 B_外見で勝負 コントラストを強くする
- 2022.01.24
虚血性冠動脈疾患
・悪性腫瘍では心筋梗塞や脳梗塞を含む急性動脈血栓症の発症リスクも上昇する.中でも, 癌の診断直後や肺癌と膵臓癌では最もリスクが高い(Thrombosis Research 2019 ;184:16).
肺塞栓
■治療
少なくても3ヶ月間の抗凝固療法を終えた1ヶ月後のD-dimerが髙値の際,抗凝固療法を再開した方が,中断したままよりもVTE再発は少なかった(平均1.4年で1.9% vs 15%)(N Engl J Med 2006;355:1780)
■その他
PESIは肺塞栓の30日死亡率を算出できる予後指標として有用である. (Euro Heart J2014:35:3033)
迷走神経反射
・仰臥位でも起こる場合が稀だがある.迷走神経反射の5%は仰臥位で発生.精神的な苦痛が常に伴う.若年ではなく中年女性に多く,腹部違和感と排便衝動で覚醒し,自律神経症状が出現する.その後1/3で臥位のまま失神する.残りの2/3はトイレに行くために立った際に失神する(Heart. 2015 ;101:674)
・迷走神経反射を起こすとその後,数日~数ヶ月間それを何度も繰り返すsyncope clusterという状態が起こり,その後症状がない間欠期に入る人がいる(Heart. 2015 ;101:674)
観察研究のシステマティックレビュー
治療の効果を見る場合にはRCTがベストだが,
・長期の効果がみたい
・稀な有害事象をみたい
・倫理的にRCTが行えない場合
・そもそもRCTがない
などの場合には,利用可能なエビデンスで臨床問題に対応するという観点で観察研究をSRすることが正当化される.
しかし観察研究の方が,RCTに比べて研究自体がしっかり行われていない(研究計画の不精密さ,アウトカム評価の不明瞭やプロトコール離脱や,倫理委員会が不要,資金不足など)ことが一般的には多く,GRADEでは観察研究から出された結果の確実性は「低い」または「非常に低い」になることが多いため,決定的な結果として捉えない方がよい.
個々の研究の質の評価にはROBINS-Iを勧めるが,ほとんどの研究ではNewCastle Otawaが用いられてしまっている.
バイアスのリスクが高いが場合には,統合しないほうがよい.統合してしまうと結論のように見えてしまい,さらなる探索研究がされづらくなる.またバイアスのリスクが高い研究に関しては統合から除外すべき.
因果関係の解釈の違いからRCTと観察研究を組み合わせて統合すべきではない.
統合の際には,多変量解析で調整済みの数字を組み込む.また統合方法はramdom effect modelを用いる
RCTのMAと観察研究のMAでは基本的には結果に大きな差はないが,差がある場合にはバイアス,PICOの違いで起こることが多い.また異質性はPICOの違いから観察研究で大きくなる傾向がある.
参考文献
Challenges in meta-analyses with observational studies. Evid Based Ment Health. 2020 ;23:83
Including non-randomized studies on intervention effects. Cochrane Training(https://training.cochrane.org/handbook/current/chapter-24)
- 1.EBM G_STEP3 批判的吟味 観察研究のシステマティックレビュー
- 2021.10.07
浮腫
・一般的な肝臓,腎臓,心臓,甲状腺以外に稀な疾患として,肺疾患からの右心不全,蛋白漏出性胃腸症(浮腫+低アルブミン),POEMS症候群(多発神経炎+浮腫),idiopathic systemic capillary leak syndrome(感冒後に1週間程度の全身浮腫),悪性リンパ腫,皮膚筋炎/多発筋炎,薬剤,低栄養,婦人科疾患がある(JIM2014;24:130)
・カルシウム拮抗薬(CCB)による浮腫にはループ利尿薬は効果がない.CCBにACEI/ARB,レニン拮抗薬を併用するとCCBによる浮腫の頻度は下がる(UpToDate>Major side effects and safety of calcium channel blockers.2021/10月閲覧)
- EBMを実践したい方
- 「患者全体を診る」診療医師を目指している方
- 総合診療科が確立している体制の上で医師として活躍したい方
- 病院総合診療医を目指している方
- 家庭医として地域で活躍したい方
- 離島やへき地の診療所で活躍したい方