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当科の診療からの学びをおすそ分けします。適宜更新しますので、お役に⽴てたら嬉しいです!
なお、紹介したエビデンスは⾃分の患者さんに当てはまるかは検討が必要ですのでご注意を。

私たちの診療Tips > 2.家庭医療理論

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家庭医療理論のパラダイム

家庭医療理論を学んでいて,「これってどうやって患者さんの問題解決に役に立つんだろう?」と思うことがありませんか?
実はそれは意図せず問題解決モードで患者さんに対応していて,そのモードの延長上に家庭医療理論を位置づけ,問題解決ツールとして使用しようとしているからかもしれません.

従来の医学教育で刷り込まれている「問題解決モード」とは別に家庭医療を実践する上で必要な「ナラティブモード」が総合診療に必要で,それらを同時に動かすことが重要だと東京医療センターの尾藤誠司先生に教えていただきました.

それらのモード(オペレーションシステム)の違いをまとめました.

統合ケア 個人,集団,システム面から

いまいちイメージしづらい統合ケアについて,個人,集団,システム面からまとめてみました.

個人に対して医療は実は同一医療提供者層と,各施設の層をまたいだ価値観・文化,システムの共有からできているのだと学びました.

UKカンファを振り返ると,まさに垂直統合,協調という感じがします.

振り返り法

振り返り法のSEA, Clinical Jazzの概要をおさらいをします.

EBMでいうstep5にあたります.
振り返り系はなんでもそうですが,批判的に見ずに学びを促進することを目標にしましょう.
また学習者はモヤモヤしていることを自分で言語化するだけで,自分で気づくことがあるので,とにかく他の人に聞いてもらうのがいいかもしれません.

カリキュラム開発概論

教育の分野でレジデントのカリキュラム開発をすることもあると思います.

重要なのはインストラクショナルデザインと同様に,ミッションを意識しながら学習者のアウトカムを設定して,それをどう評価するかという点だと感じています.そしてそれをPDCAに回していくようですね.

『医学教育を学び始める人のために』
Ronald M. Harden (著), Jennifer M. Laidlaw (著), 大西 弘高 (翻訳).篠原出版新社.2013

やインストラクショナルデザインの資料を参考に,概要を作ってみました.
プレゼン部で作ったものなので,見た目がアレですみません.

 

BPSモデル

・BPSモデルはそれぞれの要因を見つけ,相互関係を見つけていく.介入の際にはシステム理論に基づくので,「風が吹いたら桶屋が儲かる」のように一つの介入がどんな他への影響を及ぼすかを考える.効果的な介入点をレバレッジポイントといい,やみくもに介入しようとせずどこがレバレッジかを考える.

・複雑困難事例などでの多職種カンファではBPSモデルを利用したアプローチが有効.Bは医師,Pは看護師,SはMSWが強いので協働して検討する.

 

■BPSS(Biopsychosocial-Spiritual)インタビュー
B,P,Sをそれぞれ聞いていく質問法.代表的な質問は下記.心理療法士向けの内容だが,おそらく私たちがBPSモデルを考えるときにも部分的に適用できそうです.ひどい訳ですがお許しください.

 

・Biomedical
1:あなたの健康状態やillness・怪我などの経験について教えてくれませんか?どんな症状が気になっていますか?どの症状に初めて気づきましたか?それをコントロールするためにどんな手段や治療が必要でしたか?
2:あなたと医療者との関係を教えてくれませんか?例えば,彼らがどんな助けになったか?またどんなことで困りましたか?
3:今回のことを通して,自分の体がどんな反応をしたことに一番驚きましたか?
4:あなたや,家族は過去にこれまでillnessや怪我などに対して医療を要してきたことはありますか?もしあるのなら,それは今の自分にどういう影響を与えていますか?
5:あなたの体の症状が感情,考え,行動に与えるインパクトをどのように気づきますか?

 

Psychological
1:あなたに影響を与えたillnessの経験についてどう思いますか?
2:この経験を通して最もあなたを驚かせた感情はなんですか?なぜですか?
3:あなたが診断されてから,あなた自身や家族,あなたの仕事や趣味などの活動などに対しての考え方は何か変わりましたか?どんなふうに?:
4:どうな風に考えれば気分良く感じられますか?逆にどんな考えがあなたのエネルギーを失わせてしまいますか?

 

Social/Environmental
1:あなたのそばにいる,あたなの健康についての心配を一番話せる人は誰ですか?
2:今回の経験を通して,家族の中で最も支えになったのは誰ですか?その人は何をしましたか?もっと支えてほしいと思う人は誰ですか?
3:今日の受診にあたって,社会的なサポートの中で何が困難でしたか?どうやってそれを乗り越えたのですか?
4:家族はそれぞれがケアや心配についてどのように言っていますか?
5:あなたの健康を管理するにあたっての他のストレスはなんですか?(経済?交通?仕事?司法?教育?)

 

Spiritual
1:なぜこんなillnessや健康危機の経験をすることになってしまったと思いますか?
2:今回のことはあなたの人生にどんな意味を持ちますか?
3:あなたを超えてあなたを今回のことから救ってくれる人や場所,物はありますか?どんなふうに?
4:今回の経験はあなたのスピリチュアルな考え方に影響を与えましたか?どんなふうに?
5:制御不可能だと感じてしまうのはどの健康の部分ですか?

(The Therapist’s Notebook for Family Health Care: Homework, Handouts, and Activities for Individuals, Couples, and Families Coping with Illness, Loss, and Disability 1st Editionから訳.悲しいくらい直訳)

家族図

◆家族図作成から仮説生成までの流れ(藤沼康樹先生レクチャー)
1:家族図を書く
2:親レイヤー,子レイヤー,孫レイヤーを意識する
3:当事者+もう一人の3角形で考えると新たな視点が見える.Ex)当事者夫婦+子,当事者夫婦+孫

 

・身体化症状は家族内の適応機能として働いている可能性がある
・一般的なライフサイクルをたどっていない(離婚,再婚,子供いない)などではストレスが強いことが知られている
・ライフサイクルのステージが変わるときにはストレスが強くなる
・家族図:縦断面での評価としてアルコールや虐待などの問題を親子で繰り返していないか,
・また自分の家族の体験を相手の家族に投影してしまっていないか(自分が長男だと相手が長男っぽい役割をしてないと陰性感情を持ってしまうなど)
・家族面談の禁忌:家族が暴力行為をするとき

 

◆家族図作成のキークエスチョン(藤沼康樹先生レクチャー)
・「病気や治療のことで,家族が最も心配していること,問題だと感じていることは?」
・「家族の中で,誰が一番病気による影響を受けてますか?,またその人はそれをどのように語っていますか?」
・「今回のことで,あなたは誰に最も助けられていますか?」
・「今,あなたが一番欲しい情報は何ですか?」
・「今のあなたには,診療所のスタッフからのどのような支援が助けになりますか?」

 

◆退院調整カンファに使うには(藤沼康樹先生レクチャー)
・登場人物把握
・ヘルスエキスパートの確認
・関係性とかは本人達は話してくれないこともあるので,ケアマネに聞いたりすることがある
・家族に接している医師やリハなどから情報を得る
・医療チームで共有するときには家族図はいいフレームワークかもしれない

卓越した病院総合診療医の対象とは

・複雑性が高く,構成要因が比較的重症な多疾患併存患者の入院治療

・下降期慢性疾患の入院治療と外来マネージメント

・未診断・未分化で症状が比較的重い患者の確定診断とマネージメント

・心理社会経済的問題によるCrisisサイクルを一時的にリセットする入院患者のマネージメント

・特定の対象疾患はないこと

(藤沼康樹先生の当科でのレクチャーより)

地域の健康増進

・大枠として地域の健康増進版のPDCAとして地域志向性プライマリ・ケア(COPC)がある.

・地域診断にはcommunity as partner model(CAPモデル)があり,これは網羅的である.

患者中心の医療(PCCM)

・患者中心の医療(Patient-centered clinical method(PCCM))は①健康,疾患,病の経験を語る,②全人的に理解する,③共通の理解基盤を見出す,④患者-医師関係を強化する,の4つのコンポーネントがある

・どんなときに使うか?

 ・主治医がその人の予約が入っていると嫌だなと思うとき

 ・その人の感情に直面するのが怖いとき

 ・薬飲まないとか解釈が違うとき

→つまり,なんか患者さんとの間にズレを感じ,スッキリしないなと思うとき.

・①→④の順番にやらなければならないわけではなく,PCCMの全体像を示したもの.

実際には③の共通基盤がないと感じられたときに,①と②を同時に探っていく.

・①健康,疾患,病の経験を語る:FIFEとその人の健康観を聞く

・②全人的に理解する:コンテクストを考える際には家族図とライフヒストリーが大事

 

臨床倫理 4分割表

実診療ではモヤモヤすることも少なくありません.

そんなときに何か大事な視点が欠けていないかを検討するのに臨床倫理の4分割表を多用します.

・医学的適応のポイントとして,その人の余命の見積もりとアウトカム発生率の見積もりは,介入を行うかに直結するため重要です.そのためにはEBMの定量的な評価が必要になります.

・患者さんの意向のポイントは代理決定時に,「”患者さんだったら”どう思いますか?」というのが非常に大切だと思います.

・周囲の状況として,経済的な視点は避けては通れません.特に入院継続や施設入所にどのくらいのお金がかかるのかは具体的にイメージができていないと,現実的な選択肢になりません.

・QOLではCLINICAL ETHICS 8th edによれば,もともとの状態との落差がQOLを大きく規定するとのことです.もともとADLが自立な人のADL低下と,もともとADLが低い人のさらなるADL低下では,現時点のADLは同じでも前者の方がQOLは大きく損なわれている可能性があるとのことです.そのため,元の状況がどうかもポイントになります.

 

 

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