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私たちの診療Tips

当科の診療からの学びをおすそ分けします。適宜更新しますので、お役に⽴てたら嬉しいです!
なお、紹介したエビデンスは⾃分の患者さんに当てはまるかは検討が必要ですのでご注意を。

私たちの診療Tips > 5.疾患別Tips

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肺胞出血

・肺胞出血の1/3は喀血しない(UpToDate>The diffuse alveolar hemorrhage syndromes<2022/5/26閲覧>)

多発性骨髄腫

血液・尿でM蛋白が認められない非分泌型MMNSMM)はMM3%.その中のさらに2~4%はκ/λ比が正常であるtruely NSMMという.これに特異的な検査はないが,低ガンマグロブリンは92%にあり,高カルシウム血症,腎障害,貧血,骨病変があれば診断には骨髄生検が必要になる(外来診療のUncommon Disease vol.3.生坂政臣編著 日本医事新報社.2020

虚血性冠動脈疾患

・悪性腫瘍では心筋梗塞や脳梗塞を含む急性動脈血栓症の発症リスク上昇する.中でも, 癌の診断直後や肺癌と膵臓癌では最もリスクが高い(Thrombosis Research 2019 ;184:16.

肺塞栓

■治療

少なくても3ヶ月間の抗凝固療法を終えた1ヶ月後のD-dimerが髙値の際,抗凝固療法を再開した方が,中断したままよりもVTE再発は少なかった(平均1.4年で1.9% vs 15%)(N Engl J Med 2006;355:1780)

■その他

PESIは肺塞栓の30日死亡率を算出できる予後指標として有用である. (Euro Heart J2014:35:3033)

迷走神経反射

・仰臥位でも起こる場合が稀だがある.迷走神経反射の5%は仰臥位で発生.精神的な苦痛が常に伴う.若年ではなく中年女性に多く,腹部違和感と排便衝動で覚醒し,自律神経症状が出現する.その後1/3で臥位のまま失神する.残りの2/3はトイレに行くために立った際に失神する(Heart. 2015 ;101:674)

・迷走神経反射を起こすとその後,数日~数ヶ月間それを何度も繰り返すsyncope clusterという状態が起こり,その後症状がない間欠期に入る人がいる(Heart. 2015 ;101:674)

浮腫

・一般的な肝臓,腎臓,心臓,甲状腺以外に稀な疾患として,肺疾患からの右心不全,蛋白漏出性胃腸症(浮腫+低アルブミン),POEMS症候群(多発神経炎+浮腫),idiopathic systemic capillary leak syndrome(感冒後に1週間程度の全身浮腫),悪性リンパ腫,皮膚筋炎/多発筋炎,薬剤,低栄養,婦人科疾患がある(JIM2014;24:130)

・カルシウム拮抗薬(CCB)による浮腫にはループ利尿薬は効果がない.CCBにACEI/ARB,レニン拮抗薬を併用するとCCBによる浮腫の頻度は下がる(UpToDate>Major side effects and safety of calcium channel blockers.2021/10月閲覧)

 

腎性貧血

トランスフェリン飽和度(TSAT)≦20%以下,フェリチン≦500 ng / mL以下の患者では,Hbの増加に伴って鉄に反応する可能性があるため,通常エリスロポエチン製剤を投与する前に鉄を投与する.
Hbが10g/dL未満のほとんどのCKD患者に,TSAT>20%,フェリチン>200 ng /mLの場合にエリスロポエチン製剤を投与する.

例外には,
●活動性の悪性腫瘍(特に治癒が見込まれる患者)または最近の悪性腫瘍の病歴がある患者.癌の進行または再発のリスクが高まる可能性があるため,このような患者の間でのESAの使用は避ける.
●脳卒中を起こした患者.ESAによる副作用(再発性脳卒中など)のリスクが高い可能性があるため,このような患者へのESAの使用は避ける.
●特定の併存疾患(例:寝たきり,機能的能力が非常に限られている,認知症など)があり,貧血からより活動的で症候性のある人と同じ利益をESAから得る可能性が低い患者.鉄補給だけでは達成できない特定の臨床目標(輸血による入院を最小限に抑える、心不全の管理を最適化するなど)を達成するためにHbを十分に改善する必要がない限り,このような患者でのESAの使用は避ける.

Kidney Disease Improving Global Outcomes (KDIGO) clinical practice guideline for anemia in chronic kidney disease. KDIGO 2012.

ウェルニッケ脳症

・ウェルニッケ脳症は臨床診断.

頭部MRIの中脳水道周囲,第三脳室周囲,蓋板,乳頭体,視床内側に認められる対称性の異常信号はSn 53%, Sp 93%,LR 7.6/0.5(Am J Roentgenol. 1998;171:1131)

菌血症

・免疫不全ではない成人の入院患者において感染症を疑い血液培養を採取するとき、採取直前の食事の摂取量(看護師記録)が80%以上であることは、菌血症の存在に対して感度93.7%、特異度34.6%、陽性尤度比1.43、陰性尤度比0.18であり、菌血症のrule outに有用である。
・また同様の状況において、医師により悪寒戦慄があったことが確認されることは、菌血症の存在に対して感度23.5%、特異度95.1%、陽性尤度比4.78、陰性尤度比0.8であり、菌血症のrule inに有用である。
(J Hosp Med. 2017 Jul;12(7):510-515.)

 

・免疫不全でないこれから入院する成人患者において感染症を疑い血液培養を採取するとき、採取前24時間の食事の摂取量(患者あるいは家族、介護者による申告)が80%以上であることは、菌血症の存在に対して感度84.4%、特異度19.8%、陽性尤度比1.05、陰性尤度比0.79であり、菌血症のrule outに有用ではない。
(BMJ Open. 2021 May 27;11(5):e044270.)

 

・MRSA菌血症患者に対して抗MRSA薬+βラクタム系併用は,抗MRSA薬単剤と比べてAKIが有意に増える.安全性から早期中止したので効果は不明(JAMA. 2020 Feb 11;323(6):527-537)

 

・K. pneumoniaeが血液培養で検出された際,string test(培地からコロニーを爪楊枝で引っ張る)で陽性(コロニーが5mm以上糸を引く)だと肝膿瘍,髄膜炎などの侵襲性クレブシエラ感染症になりやすい(J Intern Med. 2006;259:606. )

 

・敗血症患者では解熱剤使用で28日死亡率が上昇するかもしれない(NSAIDs OR 2.61,アセトアミノフェン OR 2.05),非敗血症では死亡率は上がらない(Critical Care 2012;16:R33)

発作性心房細動

発作性心房細動患者に抗凝固療法を開始する際の心房細動持続期間の閾値については確立していない。専門家の中でも意見が分かれており、30秒から6時間まで様々である。

(UpToDate>Atrial fibrillation: Anticoagulant therapy to prevent thromboembolism.2021/6月参照)

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