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私たちの診療Tips
当科の診療からの学びをおすそ分けします。適宜更新しますので、お役に⽴てたら嬉しいです!
なお、紹介したエビデンスは⾃分の患者さんに当てはまるかは検討が必要ですのでご注意を。
菌血症
・免疫不全ではない成人の入院患者において感染症を疑い血液培養を採取するとき、採取直前の食事の摂取量(看護師記録)が80%以上であることは、菌血症の存在に対して感度93.7%、特異度34.6%、陽性尤度比1.43、陰性尤度比0.18であり、菌血症のrule outに有用である。
・また同様の状況において、医師により悪寒戦慄があったことが確認されることは、菌血症の存在に対して感度23.5%、特異度95.1%、陽性尤度比4.78、陰性尤度比0.8であり、菌血症のrule inに有用である。
(J Hosp Med. 2017 Jul;12(7):510-515.)
・免疫不全でないこれから入院する成人患者において感染症を疑い血液培養を採取するとき、採取前24時間の食事の摂取量(患者あるいは家族、介護者による申告)が80%以上であることは、菌血症の存在に対して感度84.4%、特異度19.8%、陽性尤度比1.05、陰性尤度比0.79であり、菌血症のrule outに有用ではない。
(BMJ Open. 2021 May 27;11(5):e044270.)
・MRSA菌血症患者に対して抗MRSA薬+βラクタム系併用は,抗MRSA薬単剤と比べてAKIが有意に増える.安全性から早期中止したので効果は不明(JAMA. 2020 Feb 11;323(6):527-537)
・K. pneumoniaeが血液培養で検出された際,string test(培地からコロニーを爪楊枝で引っ張る)で陽性(コロニーが5mm以上糸を引く)だと肝膿瘍,髄膜炎などの侵襲性クレブシエラ感染症になりやすい(J Intern Med. 2006;259:606. )
・敗血症患者では解熱剤使用で28日死亡率が上昇するかもしれない(NSAIDs OR 2.61,アセトアミノフェン OR 2.05),非敗血症では死亡率は上がらない(Critical Care 2012;16:R33)
腸球菌菌血症の治療
単一の血液培養で腸球菌が検出された状況では,敗血症の臨床的証拠がない場合や,多菌種感染症でより毒性の高い微生物を狙った抗菌薬治療で改善している患者の場合には,腸球菌菌血症に対する治療は延期してもよい.(Rev Infect Dis.1989;11:74. Rev Infect Dis.1991;13:600.)
血管内カテーテルが菌血症の原因である可能性が高い状況では,カテーテルの除去だけで感染を治すことができる.ただし,発熱がある場合は,腸球菌の検出後,追加の血液培養を行い結果を待つ間,経験的に抗菌薬投与を開始する必要がある.このような治療は,症状が軽快し弁の異常が見られない(IE所見がない)場合,通常5〜7日後に中止できる.
E.facalis以外の腸球菌性細菌血症のほとんどの症例は心内膜炎とは関連しない.E.facalis菌血症の患者における心内膜炎の相対リスクは高いが,それでも比較的低い.(Infection.2004;32:72.)
- EBMを実践したい方
- 「患者全体を診る」診療医師を目指している方
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