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私たちの診療Tips
当科の診療からの学びをおすそ分けします。適宜更新しますので、お役に⽴てたら嬉しいです!
なお、紹介したエビデンスは⾃分の患者さんに当てはまるかは検討が必要ですのでご注意を。
悪性リンパ腫
・胃がんに比べ,胃悪性リンパ腫は病変が多発する傾向がある(この1冊ではじめる上部消化管内視鏡マニュアル: 研修医・初心者のために.南江堂. 2013)
・リンパ腫に対するsIL2Rの検査性能(Mol Clin Oncol. 2019 ;11:474)
500以上でLR+ 1.4, LR- 0.45
2000以上でLR+ 4.97, LR- 0.70
3000以上でLR+ 10.1, LR- 0.76
大球性貧血
■診断
・重度のマクロサイトーシス ( MCV 110-115 fL ) はほとんど例外なく巨赤芽球性貧血と関連している.MCVが130fLを超える109人についての研究では,症例の90%以上がビタミンB12欠乏,葉酸欠乏か,薬剤性(HIV感染に対する抗レトロウイルス治療 ( ART療法 ),ヒドロキシウレア製剤 )であった.
(UpToDate > Macrocytosis/Macrocytic anemia > Evaluation > Clues from the CBC and blood smear (2020/03参照) )
・Vit. B12欠乏と診断された患者で貧血があったのは29%,MCV>100は36%しかいなかった(Mayo Clin Proc. 1994;69(2):144)
■治療
・ビタミンB12欠乏性貧血に対してビタミンB12を補充すると1週間以内に低カリウム血症になることがある(Blood. 2008 ;112:2214-21)
・ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血はビタミン補充で造血期になると,鉄欠乏が起こることがある(J Gen Fam Med. 2017;18:200)
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
■pseudo TTP
ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血でも溶血・破砕赤血球が出現し,TTPのミミックになる(pseudo TTP). 鑑別としてはTTPは網状赤血球が増加するのに対して,pseudo TTPでは減少する.(Cureus. 2023;15:e40212.)
またpseudo TTPではMCVは上昇することが多い.(日内会誌.2019:108:2154)
- 5.疾患別Tips F_血液 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
- 2024.08.30
腎性貧血
・貧血(Hb 男 12g/dl未満,女 11g/dl未満)の合併率は,eGFR 60 ml/1.73 m2で1%, eGFR 30 ml/1.73 m2で9%, eGFR 15 ml/1.73 m2で男性 33%,女性 67%だった(Arch Intern Med. 2002 ;162:1401-8)
溶血性貧血
溶血性貧血を疑う場合,ビリルビン上昇の基準上限は患者のヘマトクリットを45で割ったもの.
一見基準範囲内でも,実は上昇している場合があり,ヘマトクリットの補正をしなければならない.また溶血での高ビリルビン血症は通常T-Bil 4未満.(Disease Markers 2015; Article ID 635670)
TAFRO症候群
・TAFRO症候群で血小板減少がない患者が約5%いる(Annals of Hematology 2018;97:401)
赤芽球癆
・腎性貧血に用いられるエリスロポエチン製剤で薬剤性の赤芽球癆が起こることがある.エリスロポエチンへの中和抗体にによるもの.( N Engl J Med. 2002 14;346:469-75)
多発性骨髄腫
血液・尿でM蛋白が認められない非分泌型MM(NSMM)はMMの3%.その中のさらに2~4%はκ/λ比が正常であるtruely NSMMという.これに特異的な検査はないが,低ガンマグロブリンは92%にあり,高カルシウム血症,腎障害,貧血,骨病変があれば診断には骨髄生検が必要になる(外来診療のUncommon Disease vol.3.生坂政臣編著 日本医事新報社.2020)
腎性貧血
トランスフェリン飽和度(TSAT)≦20%以下,フェリチン≦500 ng / mL以下の患者では,Hbの増加に伴って鉄に反応する可能性があるため,通常エリスロポエチン製剤を投与する前に鉄を投与する.
Hbが10g/dL未満のほとんどのCKD患者に,TSAT>20%,フェリチン>200 ng /mLの場合にエリスロポエチン製剤を投与する.
例外には,
●活動性の悪性腫瘍(特に治癒が見込まれる患者)または最近の悪性腫瘍の病歴がある患者.癌の進行または再発のリスクが高まる可能性があるため,このような患者の間でのESAの使用は避ける.
●脳卒中を起こした患者.ESAによる副作用(再発性脳卒中など)のリスクが高い可能性があるため,このような患者へのESAの使用は避ける.
●特定の併存疾患(例:寝たきり,機能的能力が非常に限られている,認知症など)があり,貧血からより活動的で症候性のある人と同じ利益をESAから得る可能性が低い患者.鉄補給だけでは達成できない特定の臨床目標(輸血による入院を最小限に抑える、心不全の管理を最適化するなど)を達成するためにHbを十分に改善する必要がない限り,このような患者でのESAの使用は避ける.
Kidney Disease Improving Global Outcomes (KDIGO) clinical practice guideline for anemia in chronic kidney disease. KDIGO 2012.
- F_血液
- 2021.07.20
鉄欠乏性貧血
■診断
・フェリチンのIDAに対する検査性能は
≤ 15 mcg/L→LR 52
15-25 mcg/L→LR 8.8
25-35 mcg/L→LR 2.5
35-45 mcg/L→LR 1.8
45-100 mcg/L→LR 0.5
≥ 100 mcg/L→LR 0.08
・鉄飽和度(TSAT)のIDAに対する検査性能は
<5 %→LR 10.5
5-9 %→LR 2.5
10-19 %→LR 0.81
20-29 %→LR 0.52
30-49 %→LR 0.43
> 50 %→LR 0.15
( J Gen Intern Med 1992 ;7:145)
■治療
・鉄剤内服は毎日よりも隔日の方が吸収がよいかもしれない(Lancet Haematol. 2017;4(11):e524)
- EBMを実践したい方
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