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当科の診療からの学びをおすそ分けします。適宜更新しますので、お役に⽴てたら嬉しいです!
なお、紹介したエビデンスは⾃分の患者さんに当てはまるかは検討が必要ですのでご注意を。

私たちの診療Tips > 5.疾患別Tips > C_内分泌代謝/栄養

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2型糖尿病

■薬剤

・GLP-1作動薬はコントロールに対して甲状腺癌が HR 1.52(95%CI 1.01-2.29)に増えるかもしれない.ただしメタアナリシスでの合わせた発症率はGLP-1作動薬群で0.16%,コントロール群で0.08%と少なく,今後の研究次第では有意差がなくなる可能性がある(Diabetes Obes Metab. 2024;26:891)

 

■その他

・HbA1cは成人重症低血糖の予測にはあまり有用ではないかもしれない.  (Diabetes Care2013;36:3535-42)

・高齢の糖尿病罹患者が筋トレを行うことはADL,QOL,インスリン抵抗性,血糖に対して良い影響があるかもしれない. (Diabetes care 2013:36:2372)

・糖尿病患者に野菜から食べるように生活指導を行うとHbA1c が下がるかもしれない. (日本栄養士会雑誌 2010;53:16)

・糖尿病患者が癌を合併すると死亡率が上昇する.  死亡率の上昇率は癌の種類によって異なる. 直腸癌, 子宮内膜癌, 乳癌は死亡率を有意に上げる. 胃癌は有意差がない. 肺癌は有意に死亡率を下げる. (JAMA. 2008 Dec 17;300(23):2754-64.)

ビタミンB12欠乏と葉酸欠乏

■ビタミンB12欠乏と葉酸欠乏が疑わしいときは,真の欠乏かを考える.
典型的な血清ビタミンB12値とその解釈[N Engl J Med. 2013;368:149.]
・300pg/mL以上 -正常.欠乏の可能性は低い(感度は約90%とされるが,抗内因性因子[IF]抗体を持つ患者ではこの測定法の感度はそれほど高くないかもしれない).
・200~300 pg/mL –境界域.欠乏の可能性があり追加検査が有用.
・200 pg/mL以下-低値.欠乏症と判断.

典型的な血清葉酸値とその解釈[Am J Med Sci. 1994;308:276.]
・4 ng/mL以上-正常.葉酸は欠乏していないことを示唆している.
・2~4 ng/mL-境界域.臨床的状況や葉酸欠乏を疑う程度によっては追加検査が指示されることがある.
・2 ng/mL未満-低値.葉酸欠乏症.

境界域のとき,メチルマロン酸(MMA;当院では測定できない)またはホモシステインを測定してみると以下のように判断の補助ができる.[Am J Hematol. 1990;34:99.]
・MMAとホモシステインが正常 ―ビタミンB12または葉酸の欠乏はない
・MMA,ホモシステインともに上昇-ビタミンB12の欠乏(葉酸欠乏の可能性は除外できない).
・MMA正常,ホモシステイン上昇 ―ビタミンB12の欠乏なし.

■ビタミンB12欠乏を来す薬剤としてメトホルミン(BMC Pharmacol Toxicol. 2016;17:44),PPI/H2ブロッカー(JAMA. 2013;310:2435)がある

■pseudo TTP

ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血でも溶血・破砕赤血球が出現し,TTPのミミックになる(pseudo TTP). 鑑別としてはTTPは網状赤血球が増加するのに対して,pseudo TTPでは減少する.(Cureus. 2023;15:e40212.)

またpseudo TTPではMCVは上昇することが多い.(日内会誌.2019:108:2154)

ビタミンB1欠乏

・ウェルニッケ脳症に対するMRIの検査性能は感度53%,特異度93%,LR+ 7.57, LR- 0.51.ただし全体の症例数が30人と少なく,数字の信頼度は低いかもしれない.(AJR Am J Roentgenol. 1998;171:1131.)

・低マグネシウム血症がウェルニッケ脳症の原因になることがある.ビタミンB1がリン酸化されて補酵素になるにはマグネシウムが必要になるから(Lancet. 1999 ;353:1768)

色々欠乏症

・銅欠乏による脊髄障害は頚髄,胸髄に起こる.MRIで異常が出ないこともある(UpToDate>Copper deficiency myeloneuropathy 2022/3/19閲覧)
・銅欠乏は亜鉛補充によって吸収が競合され起こることがある(UpToDate>Copper deficiency myeloneuropathy 2022/3/19閲覧).そのため銅欠乏の治療では亜鉛を止めることも入る.
・銅欠乏の治療は日本では薬剤がなく,ココア飲用する.まずは1日8mgの元素銅補充する(UpToDate>Copper deficiency myeloneuropathy 2022/3/19閲覧).ココアは銅 0.9mg/1袋(もちろん製品による)なので1日8杯からを目安にする.
・カルニチン欠乏は日本人の血液透析患者で4年以上透析を受けていると特に起こりやすい(Nutrients. 2020 ;12:3371).症状としては筋力低下,心機能低下,透析中の血圧低下,貧血などがあり,治療で改善することがある(Seminars in Dialysis 2001; 14,: 209).また低血糖を起こす報告もある(Intern Med .2016;55:365)

起立性低血圧症

■診断

脈拍の増加が伴わない場合には自律神経障害を疑う.⊿HR/⊿sBP<0.5のとき,自律神経障害(パーキンソン病,DLB,純粋自律神経不全症など)に対して,Sn 91.3%, Sp 88.4%, LR+ 7.9, LR-0.1(ジェネラリストのための内科診断キーフレーズ.長野広之.2022.医学書院, Ann Neurol 2018;83:522)

■治療

糖尿病性起立性低血圧症の罹患者に五苓散を投与することは症状が改善するかもしれない. (Diabetes Frontier2000;11:561)

高尿酸血症

■治療

・心血管イベントの既往がある高尿酸血症に対して,フェブキソスタットはアロプリノールより死亡を増加させるかもしれない.(NEJM 2018;378. 1200)

フェブキソスタットはプラセボと比べ痛風発作が増えるかもしれない.(Febuxostat for treating chronic gout. CDSR 2012:CD008653.)

フェブキソスタット 40mg RR 0.95(0.52~1.74)
フェブキソスタット 80mg RR 1.32(0.96~1.81)
フェブキソスタット 120mg RR 1.71(1.26~2.32)
フェブキソスタット 240mg RR 2.56(1.76~3.72)

■その他

・サイアザイド使用によりRR1.77で高尿酸血症になる.(Arch Inter Med 2005;165. 742)

・サイアザイドで尿酸が上がるが,ACEI/ARB併用で相殺できるかもしれない. (J Hypertens 2001;19:1855)

・痛風性関節炎でも骨髄炎に進展し,MRIで骨髄浮腫所見が見られる(Rheumatology 2009;48:1442)

ウェルニッケ脳症

・ウェルニッケ脳症は臨床診断.

頭部MRIの中脳水道周囲,第三脳室周囲,蓋板,乳頭体,視床内側に認められる対称性の異常信号はSn 53%, Sp 93%,LR 7.6/0.5(Am J Roentgenol. 1998;171:1131)

副腎不全

■診断
・ACTHは,室温では血液中で不安定であり,血球および血小板の酵素によって切断され測定値が低下する.血液の採取方法と血漿の調製方法と保管方法は,測定されたACTH濃度に著しく影響する可能性がある.一般に,ACTH血液サンプルをEDTAが入った採血管に取り,血漿サンプルの遠心分離分離,凍結まで氷上に保つことを推奨する.

・正常な被験者と副腎障害の患者は,ACTH分泌増加によりストレスに迅速に反応する可能性がある.このため,血液サンプルは留置針またはカテーテルで採取する必要がある.静脈穿刺で2〜3分以上かかるサンプルの測定値が高い場合は注意して解釈する必要がある.同様に,患者が新しい環境に慣れる前の入院後の最初の夜に,睡眠後の値を取得しないことが最善である.
UpToDate>Measurement of ACTH, CRH, and other hypothalamic and pituitary peptides(2020/6閲覧)

 

・重症患者での副腎不全(Critical Illness Related Corticosteroid Insufficiency)
以前に相対的副腎不全と呼ばれていた.ステロイドの需要に共有が追いつかないと発症する.
診断基準は明確なものはないが,コルチゾール34μg/dl以上では可能性は低そう(通常の副腎不全のカットオフは18とされている).最終的には臨床状況とステロイドへの反応で診断する(Shock 2003;19:13),

成長ホルモン欠乏症

■成人では単独欠損は極めてレア

■症状は易疲労感、スタミナ低下、集中力低下、気力低下、うつ状態、性欲低下などの不定愁訴的な感じ
・身体所見として皮膚の乾燥と菲薄化、体毛の柔軟化、体脂肪(内臓脂肪)の増加、ウェスト/ヒップ比の増加、除脂肪体重の低下、骨量の低下、筋力低下などがある(難病情報センター>下垂体前葉機能低下症)

■検査の適応

・視床下部,下垂体の器質的疾患

・視床下部,下垂体の術後,放射線照射後

・頭部外傷後

・他の下垂体ホルモン異常合併

・小児期の成長ホルモン欠乏症の既往

(J Clin Endocrinol Metab. 2011 ;96:1587-609,UpToDate>Growth hormone deficiency in adults 2020/9月閲覧)

 

原発性アルドステロン症

・ACEI,ARBなどを内服中のレニン活性が1ng/ml/hour未満だと,原発性アルドステロン症を強く示唆する(UpToDate>Diagnosis of primary aldosteronism. 2020/9月閲覧)

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